不具合報告書を書いてみよう。報告書の記載例① ~ダメな報告書編~

内容が一番ダメだと感じた不具合報告書
ある日、協力会社(以下、A社)から納品された部品が間違っていた為(図番と現物の不一致)、A社に対し不具合報告書の提出をお願いしました。後日、A社から不具合報告書が提出されたのですが、その内容があまりにも簡単な内容だった為、驚いた経験があります。どんな内容だったか紹介したいと思います。
・不具合とA社への要望の内容
不具合内容:納品された製品の図番と現物が一致していなかった。
A社への要望:本日より一週間以内に原因と対策を纏め報告をして下さい。確実な防止策を打ち、再発を防いで下さい。
※不具合報告書の提出期日は大体一週間以内が多いと思います。長い所でも2週間程度という感じです。不具合報告書は、内容も大事ですが提出期日を守る事も重要です。どうしても内容が纏まらず提出期日を守れなさそうな場合は早めにお客様に連絡しましょう。
・A社からの不具合報告書の内容
「発生原因」
作業者が図番を見て製品をピッキングする時、図番を見間違ってしまい間違った製品をピッキングしてしまいました。
「発生対策」
ピッキングを行う時には図番を見間違っていないか十分確認するよう指導しました。
これだけでした!最初に見た時はこんな内容で提出する会社があるんだとびっくりして強く印象に残りました。しかも、不具合報告書のフォーマットはA社独自のものがあったようで印刷されたものでしたが、発生原因と発生対策部分の記述はシャープペンシルで手書きでした。内容も薄いですしこれだけでは再発するだろうなと思いました。
品質担当者が受ける印象
A社から提出された不具合報告書は上記の内容でした。こういった内容の報告書を提出されると、私は下記のように考えます。
①品質に力を入れていない会社
日々の物つくりに精一杯で品質に掛けるコストがなかったり、品質と言う部署が無い会社。
※こういった会社には品質の事をうるさく言っても改善が難しいので、同等のコストで仕入出来る所があれば仕入先を変えたり、自社内の受入検査を厳しくする必要があります。
②品質担当者のレベルが低い会社
報告書の内容はお粗末なものだが、品質担当者自体がこの内容で良いと考えている。
※こういった会社に品質改善を任せていても良くならないので、内容を指摘して改善を促す必要があります。
③自社に対し力を入れた報告書を提出しなくて良いと考えている会社
十分なレベルで不具合報告書を書ける能力はあるけれど、自社に対しては簡単な内容でいいと考えている。
※こういった会社は厄介です。特に自社より大きな会社にありがちで、先方からすると取引量も小さいし、重要ではないから力を掛けないでいいと考えられていると、中々思うような報告書を貰えない事があります。この場合は半分諦めます!けれど、自社内の品質を良くする為にも先方の品質担当者とコミュニケーションを取って少しでも良い報告書を貰えるようにお願いします。こういった事は正直に言うと私もあります。重要な顧客に対しては今後の受注にも影響するだろうし、しっかりと対策を立てて再発を防止しないといけないと考える為、力を掛けて報告書を作成します。又、報告書の提出先が内容について厳しくない場合も、ある程度の報告書が出来れば提出します。
こういった考えは良くない事ですが、日々の負荷の関係もあるので効率よく業務をこなすには必要な事だと思います。しかし、最終顧客は誰なのか?何のために品質を良くしようとしているのか?を忘れず常に最高の不具合報告書(重要なのは対策ですが)を作成して行きましょう。
どんな不具合報告書だったら良かったのか
どんな不具合報告書だったら良かったのか今回の不具合内容から考えていきましょう。
「発生原因」
作業者が図番を見て製品をピッキングする時、図番を見間違ってしまい間違った製品をピッキングしてしまいました。
→この場合、図番を見間違った理由が記載されていない為、原因の深掘りが不十分です。図番を見間違った理由として、図番が小さく見えにくかったのか?全ての図番を見ずに下3桁だけを見ていたのか?よく似た図番が多いのか?色々考えられます。こういった内容を図などを用い第三者に分かり易く説明できると良いでしょう。
「発生対策」
ピッキングを行う時には、図番を見間違っていないか十分確認するよう指導しました。
→この場合、対策は作業者への意識付けだけなので時間が経ったり作業者が入れ替わったりすると再度不具合が発生するのでこの内容では不十分です。対策に記載する内容は発生原因によって変わってきます。例えば、発生対策が図番が小さく見えにくかった場合、図番を大きくし製品ごとに記号や色分けを行い”探している図番と製品の図番が同じもの”と容易に認識できる工夫を行うのもいいと思います。又、探している図番と製品の図番を機械で照合させ合致した物だけピッキングし、その履歴を残しておく。そして、出荷時にはその履歴を第三者が確認しOKであれば出荷許可が出るなどもいいと思います。対策は会社の規模や予算によって変わってくるので色んな正解があります。
※不具合報告書の書き方については下記の記事を確認して下さい。
・「不具合報告書を書いてみよう。注意ポイントやコツの紹介です。」記事へ
